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水俣の文化人シリーズ③谷川雁

  • 執筆者の写真: shoko-p
    shoko-p
  • 2月11日
  • 読了時間: 4分

本名: 巌(いわお)

1923年(大正12年)12月16日-1995年(平成7年)2月2日

(ベートーヴェンと同じ誕生日!)

詩人、評論家、活動家、教育運動家。

兄は民俗学者の谷川健一、

弟に東洋史家の道雄、日本エディタースクール創始者の吉田公彦がいる。


旧制熊本中学第5高等学校、つまり 現在の熊本高校 熊本大学を経て

1945年、東大文学部社会学科卒。

雁さん といえば

 共産党(1960年 安保闘争を機に離党)

 三井三池炭鉱争議

 安保闘争支援     などで 有名。

 

Wikipediaには書いてありませんが、

水俣病の企業前座り込みにも参加していたと聞いています。

石牟礼道子さんにも多大な影響を与えています。

九州の炭鉱労働者を組織して、社会党でも共産党でもない労働運動を指導し、

結局 左翼には大きな影響を与えたわけで、いわゆる「カリスマ」でした。


水俣で演説を聞いたことがある人の話によると、「それはかっこよかった」そうで、

女性にもずいぶんモテたようです。

雁さんの そういう時代に刊行したのが、詩集「大地の商人」「天山」「定本谷川雁詩集」 評論集「原点が存在する」「工作者宣言」 などなど。

1965年 安保闘争の終息とともに一切の活動を停止。


一転、


語学教育を展開する「ラボ教育センター」の重役に招かれて上京、創設に参加しました。

その「変節」ぶりが話題を呼んだというのはうなずけます。

以後「らくだ・こぶた」の筆名でオリジナル童話や 世界の童話や日本神話を翻案した作品を発表。当時の前衛芸術家の作品とのコラボなども行っています。


1978年 長野県黒姫山へ移住。

1981年 「ラボ教育センター」を脱退し 

1952年には「ものがたり文化の会」を発足。

宮沢賢治の研究を中心に 児童文化活動に取り組みました。


水俣にも何度か来られた作家のC・W・ニコルさんは親友で

「詩人の谷川さんの影響で黒姫を永住の地にした」と言うと「ああ 俊太郎さんですね」と返されるので「とても悔しかった。素晴らしい詩人なのに」とおっしゃっているのを

ネットの記事で読みました。


合唱界で 「谷川雁」 と言えば 全国区。 

日本を代表する作曲家、新実徳英先生と作られた「白いうた 青いうた」全53曲、

通称「白青」は合唱の楽譜ではベストセラーです。


詩人と作曲家は ある仕事で出会います。

親子ほども年の離れた二人は意気投合し、ある日 お酒を飲みながら

「最近、曲先行で作曲しているんだけど、なかなかうまくいきません」

と語った新実先生に

「一回僕にやらせてみなさい。朝飯前だよ」と雁さんが言ったことで

1989年から 二人の共同作業が始まります。


ポップスの世界では、詞先(しせん) 曲先(きょくせん)と言われ、

曲が先で詩が後 というのは、よく聞く話です。

でも 合唱曲では聞いたことがない。

最初は そんなにうまくいくのものか半信半疑だった作曲家、

だって 革命の詩人 と言われ、難解な文章を書いていた人です。

でも、やってみないと始まらない と、まず一曲テープにメロディを録音して送りました。


それからはもう 驚きの連続だったそうです。

100曲を目指して「教育音楽 中学・高校版」という学校の先生向けの本に

連載されていましたが、雁さんが肺がんに倒れ 亡くなられたことによって

53曲で中止となりました。

71歳でした。


後に新実先生が出された「歌の不思議」という「白青」の いわゆる解説本を読むと

作曲家がどれだけ詩人に心酔していたかがよくわかります。


新実先生とは水俣ともご縁をいただいて、

「スマイルラブみなまたのうた」を作っていただいたり

合唱団みなまたは 渕上毛錢の詩による「七つの生きるうた」を委嘱したこともあって

何度か 水俣にも来ていただきましたが、

雁さんのことを話される新実先生は、本当に雁さんのことが好きで

曲だけでなく 文章も書くこともある物書きとしても

最上級の尊敬の念をお持ちなのだと強く感じました。


そんな雁さんは水俣では知られていません。

知っていても「ああ、谷川雁、左翼ね」みたいな返事しか返ってきません。

こんなに素晴らしい宝があるのに、偏見とは恐ろしいもので、見ようとはしないのですね。それは次にご紹介する予定の石牟礼道子さんに関しても同じです。

よその人には見えている水俣の素晴らしさを本人たちは知らないのです。

だから、まず知ってほしい。

私たちが合唱でもっと雁さんのことを伝えるべきですが、

残念ながら私たちの毎年の演奏曲目にも限りがあります。

というか・・・

ありがたいことに、淵上毛錢、谷川雁、石牟礼道子をテキストとする合唱曲が多すぎて、

紹介しきれない、ということもあります。贅沢の極みです。

そういうわけで、今年の演奏会は毛錢さんで行きますが、

また雁さんをご紹介できる演奏会もあるかと思いますので、気長にお待ちください。


今回もまた主観だらけになってしまいました💦



※私の別ブログに「水俣の偉人」シリーズがあり、

それをコピペして少々の直しを加えて再投稿しています。



 
 
 

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