水俣の文化人シリーズ⑤ 村下孝蔵
- shoko-p
- 2月22日
- 読了時間: 5分
更新日:3月5日
1953年2月28日生まれ、1999年6月24日没。
おうちは浜町仲ノ町の映画館「ことぶき」「太陽館」を経営されていました。
おとなりの出水市にも映画館を建てた小学一年の時だけ出水に移り
また一年で水俣に戻ってきました。
中学三年までは水俣で暮らしています。
村下さんの音楽の素地は この時代に作られたようです。
映画だけでなく 休憩中にかけていたレコードからも大きな影響を受け
寺内タケシとブルージーンズ、加山雄三、そして ベンチャーズとのめりこんでいきます。
エレキギターがほしいなんて言っても、当時は ギター=不良 の時代ですから
買ってもらえるわけもなく、なんと自分でギターを作ってしまったというから驚きです。
有名な「初恋」や「踊り子」からは、エレキの雰囲気は伝わってきませんが
ライブの途中で演奏するギターテクニックは素晴らしく、
ギターの名手としても有名だったとか。
その後 一家は 映画館の経営不振から阿蘇へ。
村下さんは水泳の特待生として熊本の鎮西高校へ。
卒業後は やはり水泳の実業団として 新日本八幡製鉄所に入社、
寮生活でギターを弾く時間がほとんどないことに悩み、9月には退社。
音楽中心の生活を送るため 転居していた両親のいる広島へ。
翌年 日本デザイナー学院広島校インテリアデザイン科に入学。
その間 自主制作シングルも出しています。
卒業後 ヤマハ広島店に就職、ピアノの販売や調律師としても働くかたわら
ホテルで弾き語りのバイトもしていました。
4年務めた後 自主制作アルバム「それぞれの風」を発表。
広島のテレビでも紹介されています。
少しずつ広島で知名度をあげていき、
27歳で応募した ソニー主催の全国オーディションに優勝し
「月あかり」でプロデビューを果たします。
テレビにはほとんど出ず 活動はもっぱら広島で。
「春雨」「ゆうこ」がヒットした後、
30才で出した5枚目のシングル「初恋」がオリコンチャート最高3位に。
でも 私たちがテレビで姿を見ていないのはその頃肝炎を患ったため。
その後全国ツアーを行うも 入院で中断。
34歳の時 もう一度全国ツアーを行いました。
翌年には ベンチャーズとの共演も果たしたのだとか
1999年 6月20日 体調不良で病院へ、
脳内出血で24日に46歳という若さで亡くなりました。
その音楽と人となりを惜しむ声は大きく、
広島ではメモリアルコンサートが2008年まで行われたようです。
水俣では2011年から「偲ぶ会」によるコンサートが開催されています。
2013年は 存命なら還暦だったということもあり、
東京や阿蘇で「還暦コンサート」が行われました。
6月24日の命日は「初恋」の歌詞にちなんで「五月雨忌」というそうです。
あの名曲「初恋」の舞台が 水俣第一中学校ということは有名な話です。
村下さんは私の10歳先輩で、昔の校舎で3年間を過ごされたわけですが、
私の在学中に その木造校舎や 立派な講堂はなくなり
3年生の時 鉄筋コンクリートの校舎に変わりました。
思うのはやはり、あの古い校舎じゃないと、あの歌は生まれないのでは、ということ。
素晴らしい作品が生まれるには、その人の才能だけではなく
必ず その背景や時代があると思います。
同級生の方々が たくさんのエピソードをお持ちでしょうね。
ここに書いたのは、ネットなどから得た情報でしかないので、
伝えられることははわずかです。
でも 歌の力は大きくて、亡くなられた今も 村下さんを身近に感じることができます。
ご本人の一番好きだった自作曲は「ロマンスカー」という作品だそうです。
CM曲や ドラマの曲も手掛けてらしたようですから
きっと知らない名曲が沢山あると思うと何だか損している気分です。
そんな風に思っていたら、何度か「村下孝蔵追悼コンサート」にキーボーディストとして
参加させていただき、色んな曲を知ることができました。
今はユーチューブでその美声と美しいメロディを聞くことができますが、
その 再生回数の多さに驚かされます。
実は亡くなった後もファンを増やし続けており、
数年に一度行われている水俣でのコンサートには全国からファンがかけつけています。
村下孝蔵を聞いて音楽活動を始めた若者もいるほどです。
今でも こんなに愛されている・・・
同じ水俣出身として 本当にうれしく思います。
ちなみに、来る「合唱団みなまた第23回演奏会」では「初恋」「踊り子」を演奏します。
どちらも当合唱団指揮者岩本先生のアカペラアレンジです。
「初恋」は今までにも何度も演奏していますが、「踊り子」は初公開、
どうぞお楽しみに!

※「初恋」は鹿児島高校の片倉先生のアレンジでした。訂正してお詫びいたします。
尚、今回、岩本先生アレンジ初公開がもう一曲、
「世界の約束」(「ハウルの動く城」より)
こちらは華やかなピアノ伴奏つきです。
2023年6月の追悼コンサートには
同年1月に加山雄三を歌う村下孝蔵をYoutubeで見つけ、ハマってしまい、
遠く山梨から来て下さった、というお客様も!
こちらが加山雄三を歌う村下孝蔵
こんな曲もあります。村下孝蔵作詞作曲「こどもがいっぱいわらってる」
※私の別ブログに水俣の文化人10人ほどについて書いた「水俣の偉人」シリーズがあり、
それをコピペして少々の直しを加えて再投稿しています。
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